「駄目も目である」木山捷平著を読んだ

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古い昭和のゆるいエッセイ

この頃の自分は本をあまり読まなくなりました。

本屋や図書館にふらっと行くこともなくなり、読む本は何かで知った、どうしても得たい「情報」の媒体としてのもの。

そんな私によく、このゆるい本と出会えたものだ。

明治生まれの木山捷平は、詩人、小説家。

2024年は生誕120年にあたり、出身地岡山の文学館では記念展も開かれたようだ。

生前は太宰治と同人誌活動もしていたこともあったのに、とても地味な存在。

しかし編者の岡崎武志は熱く推す。

読んでいて迷子になる

「赤い靴下」「軽石」といったごくあっさりしたタイトルながら、起承転結らしきものがなく、延々と続いてゆく語り。

こちらもちびちび、日を替えて読んでいるので、一体何のお話か、舞台はどこだったのか、迷子になってしまう。

ある日銭湯に行くがあいにくまだ開いていなかった。

所持金は銭湯代きっちりしかなく、他人がうまそうに食べているアイスクリームも食べられない。うちに帰ればよいのにそれも癪で、入り口で待っていたら、昔の知り合い(の脚)に似た人が通り過ぎ、たちまち過去にタイムスリップする、、、。

そんな感じ。

かつて使われていた言い回しが新鮮

木山は何かにつけて酒ばかり飲んでいる。

妻も淡々として逆らわず、肴にかまぼこ数切れを用意したりしていて気が利く。

あと、焚き火に凝って趣味のようになっていた時期もあっておもしろい。

紙くずはあっさり燃えてつまらない、じっくり燃えるタライやハシゴの木片などが燃やし甲斐があって良いんだって。

これもものが片付く楽しさだよね。

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