「映画を撮りながら考えたこと」是枝裕和著を読んだ

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出版社縛りで読書

この出版社の本を全部読もうプロジェクト、今回はミシマ社しばりです。

「海街diary」「誰も知らない」などの映画監督、是枝裕和の本。

軽いエッセイのつもりでいたら、400ページを越える分厚い本であった。さすがミシマ社。

是枝監督はテレビ出身なんですね。

しかもテレビ局ではなく製作会社にいて、社会派というか、世の中で自分が疑問に思ったことを追求、取材している。

映画でなければとか、テレビ局のディレクターでなければというようなこだわりがなく、中味で勝負しているっていう感じがする。

国際映画祭もピンキリ

最近では邦画もばんばん国際映画祭で注目を浴びるようになってきたなあと、映画好きでもない私は漠然と思っていたが、国際映画祭って世界中あっちこっちでしょっちゅうあって、レベルもいろいろなのでした。

映画祭の本質はお祭りではなく売り込み。

映画祭がゴールではなくて、ここで注目されて全世界へ売り込む場所なのですね。

国際映画祭で賞を取ったというとただそれだけですごいと思ってしまうけれど、例えばヴェネツィア国際映画祭は会場は離島で行き来しづらく、バイヤーも少ない。参加してもうやることなくてのんびり生ハム食べて帰ってくるだけ。

どこに出るかはよく考えないといけない。

私も今後は、どこの国際映画祭で評価を得たのかを注意して見るとしよう。

東京国際映画祭はレッドカーペットとかのうわべだけ真似しているだけで、映画監督同士が出会ってカフェで語らっていても18時で追い出されるなどお粗末だったらしいです。

(なおこれは出版時の2016年までの情報です)

贔屓ではなく育成だった

映画祭で賞を取った監督が翌年も招待されたりまた受賞したりってよくあることで、これは私には囲い込み、ご贔屓にしか見えなかったのだけれど、実は監督の育成、ひいては映画界発展に資するものであるという。

なるほどね。

興行収入と配給収入

最後に映画製作にまつわるお金についてのお話があった。

制作費1億円で興行収入3億円の映画があったとしたら、

劇場収入が約半分1.5億(45:55、60:40など力関係で変わる)

残り1.5億が配給収入

ここから配給会社が配給手数料を2割(3000万)と宣伝経費2000万くらいを取り、

残りが製作委員会に入る純利(1億円)となる。

純利1億なら大成功らしい。

その後の説明がよく分からなかったが、監督にはたとえば純利から3%くらいで300万円入るのかな。

1億かけて作って1億戻って大成功?

助成金も減らされてきているというし、どうして次を作れるのだろう。

途方もない世界だ。

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