ひょっこりと18世紀後半へタイムスリップ
このところ、ジェイン・オースティンの小説を読んでいます。
ジェイン・オースティン(1775~1817年)は、18世紀後半のイギリスの上流家庭を舞台にした小説ばかりを執筆している女性の小説家です。
この時代のうら若き女性がどのように伴侶を決めるのか?という婚活が主要なテーマ。
女性が仕事をして自立する機会が少なく、成人後も父親か夫に養ってもらうのは普通のこと。
当時は身分の違いが厳然とあって、それを悪いことだとも思わずにはっきり口にして、重要な判断基準になっている。
親族との付き合いは今以上に濃厚で、縁組によって親戚一同のランクも上下してしまうので、当然周囲は黙っていない。
釣り合う家と縁組しないといけないから選択肢が少なくて、いやな奴とあっさり兄弟になってしまったりする。
本人同士の意思だけでは結婚ができないのが当たり前だったんですね。
でも、それらは実は程度問題であって、もしかしたら今も昔もさほど変わっていないのかも。
散歩によく出かける
彼らはよく散歩に出かけます。
行楽として、はたまた健康管理のための日課として。
「エマ」に出てくるお父さんは、穏やかなんだけれど食事や運動にうるさい面倒くさい人。健康オタクって昔からいたんですね。
彼らの家は田舎なので建て込んではおらず、家から一歩外へ出ると、もう田園風景みたいです。
そのエリアの地名がその一族の家名って感じですが、これは今の我々もそうですね、「仙台の兄が」「仙台が言ってきた」とか言いますものね。
読む本のリストを作っている
当時の上流階級は家庭教師がついたりすることもありますが、本をたくさん読んでいれば、それで勉強したことになり、生きてゆくのには充分だったようです。
ジェイン・オースティン自身は、7~9歳の時だけ塾のようなところで勉強しただけで、今のような系統だった学校に長年通ったわけではありません。就職もしていません。
勉強にあくせくせず、仕事にあくせくせず、結婚もせず、人気作家になっても文壇での付き合いも一切せず、の引き籠り。
でも兄弟が多くて甥や姪はたくさんいたので、付き合いは身内の間でにぎやかにやっていたようです。
ゆっくり読もう
ジェイン・オースティンの作品は主なものが6作品と、実はあまり数多くはありません。
どれもイギリスの田舎を舞台とした婚活がテーマなので、一冊読めば事足りるかと思われますが、くせになって他もまた読みたくなります。
くどくどしたベタなセリフと、切れ味の良い地の文とで、読者は18世紀後半へタイムスリップしてしまいます。
時代や社会制度は違えど、人間というものは昔の人も、今の私たちと何ら変わらないものだなあと。
すでに半分の3冊を読んでしまいましたが、急いで読み尽くしてはもったいないと思えてきたので、残りの半分は今年下半期のお楽しみにしようかと思います。