「スカイ・クロラ」の世界
森博嗣を読むようになったのは、私は新書からですが、小説も大変面白いものでした。
2008年に押井守監督によってアニメ映画にもなった「スカイ・クロラ」。
読み始めたら、なんとシリーズものになっていたことが分かり、読むたびにスカイクロラの世界が広がっていきます。
「前に会った人にまた会えた」というのが楽しいシリーズものです。
全6巻で終わるのでコンパクト
森博嗣は、S&Mシリーズだの、Gシリーズだのと、いくつもの錯綜する世界を執筆していますが、「スカイ・クロラ」シリーズは短編集も含めて6冊と比較的コンパクトです。
お忙しい方は「スカイ・クロラ」だけ読んでもちゃんと完結しているので楽しめます。
ただ、その他の巻から読み始めると、意味がよく分からなくてつまらないかもしれません。
基本的に刊行順に読み、そして全巻読むのが楽しいと思います。
そして一巡するとまた全部読み返したくなって二度楽しめます。(実にうまくできているなあ)
森博嗣の小説はたくさんあるので、「こんなに読まないと面白さが分からないのか?」と絶望しますが、読み始めれば「まだ続きがある!」と嬉しくなります。
刊行順に読む
これだけは短編集です。様々な人間の視点で、時期も前後して描かれています。
他の巻は何も事件がない待機の時でも無駄口をたたけないような緊張感ある世界観ですが、この短編集は「こんなこともありましたよ~」風な、ちょっとリラックスした感じも漂います。
物語の中の時系列に読む
主人公が一番若い時がこの巻です。
ミニマリストな「クレイドゥ・ザ・スカイ」の魅力
主人公のつぶやき
6冊の中では、主人公の心のつぶやきに直に触れられるという点で「クレイドゥ・ザ・スカイ」は魅力ある一冊です。
「僕」という一人称でストーリーが進んでゆくのは他の巻にもありますが、「クレイドゥ・ザ・スカイ」は一秒ごとくらいな細かさで、僕が感じたこと思ったことを細かく描写してゆきます。
クールな外見の「僕」ですが、感情と行動がこの本ではつながっているので読者にはわかりやすく、主人公につい寄り添ってしまいます。
物語りの背景にある組織が一体どういった組織なのか、「僕」は良く分からず、そのまま読者にも良く分からないのですが、分からないままに「僕」なりに行動して、ストーリーが成り立ってしまうのがおもしろい。
森博嗣の小説はセリフも地の文も端的で、すっきりと研ぎ澄まされています。
一見つまらない軽口のようなセリフも、あとで読み返した時にすっごく意味深に立ち上る仕掛けになっています。
わずかな所持品で逃走する
- 果たせない約束はしない
- 無駄なことはしない
- 欲しいものははっきりしている(飛行機に乗りたい&煙草を吸いたい)
- まずい食事が出てきたと認識しつつも、これで十分と思う
- 持っているものは煙草、ライター、IDカード程度
- 飛ぶためには余計なものは載せられない
主人公はぎりぎりのところを生きていて、また背負っているものが大きすぎるので、持ち物も食事も睡眠・休養も人間関係も大した意味を持ちません。
ぜひ、「スカイ・クロラ」シリーズを読み進めて、「クレイドゥ・ザ・スカイ」までたどり着いてください!
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