こんな風に生きてゆく
森博嗣の「スカイ・クロラ」シリーズを読み返していて思ったのは、これは皇の時代の意識のありようのサンプルになるではないかということです。
もちろんこれは私の勝手な結びつけ方で、「スカイ・クロラ」の一連の本が書かれ始めたのも2000年からのこと。「ナ・バ・テア」は2004年刊。
でも今になって合点がいくのが恐ろしいようなおもしろいような。
森博嗣はインタビューで語っていましたが、最初から英語に翻訳されて海外で読まれることを想定して執筆していたそうです。
最初から、海外の小説が日本語に翻訳されたみたいな小説だったらしい。その辺の感触は、海外の翻訳ものをあまり読んで来なかった私にはよくわかりませんが。
ストーリーを案外覚えていない
最近、著者インタビューが加わって、新装版が出された一連の文庫版スカイクロラシリーズ。(2022〜2023年)
前に読んだ時はもっと単純なストーリーだと思っていたけれど、今回読み返したら結構いろんな移動、やりとりがあって楽しめた。
「ナ・バテ・ア」は、クサナギの若手のときの話。
本を全体の4分の1ほども読み進めたときにやっと名前が出てくる。
うまくやれそうなことをしくじったときに、わりと長くこだわったりするクサナギが新鮮だ。まるで凡人みたいだ。
他の巻のインタビューでインタビュアーが、スカイクロラはストーリーより場面が印象的で、それが何冊目の場面かはすぐ出てこないことがあると言っていていたが、著者森博嗣はそれも想定内なのだという。
ついでに、このインタビュー自体が、シャチホコばっていて、当事者2人はニヤニヤしながら、もっともらしい応答をしているのではないかと想像して楽しめた。(もちろんこれもこのように設定しているのだろう)
つまり子どものままでいる
クサナギはキルドレという、大人になれない人間という設定。
それがマッチするということは、皇の時代のポイントは子どもでい続けるということかな。